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巣こぼれか、巣立ちか2002-08-02 杉浦 雄一郎
先日、近所の公園を歩いていると芝に一羽のカラスが。なぜか近づいても全然逃げようとしない。あれっと思って顔を覗き込んだら、まるで警戒心なしの無邪気な顔をしている。羽はどことなくふわふわとしていて、色も漆黒ではなくダークグレイ。「おっ、ヒナじゃん」。 これは珍しいとなにげに足を止めると、頭の上からギャー、ギャーとけたたましい声が。見上げると親らしきカラスが、恐ろしい形相で僕に向かって「近寄るな!」と叫んでいる。どうも近くにそびえたつ巨木に巣があって、そこからヒナがこぼれ落ちてしまったらしい。 神経質になっている親ガラスをこれ以上刺激するのも気の毒なので、少しヒナから離れたのだが、そんなことでは納得してくれず、僕の頭に向かって繰り返し急降下を始めた。頭でもつつかれたらかなわないと、一度安全な距離まで退避。遠巻きに様子を見ていた。 当のヒナは自分の置かれた危険な境遇がわかっているのかわかっていないのか、のん気にひょこひょこ緑の芝の上を歩き回っている。通りがかった人は誰もがおやっと思うのか、誰もが一瞬足を止めるのだが、カラス達が上空から威嚇するので、これはいかんと足早に立ち去る。拾い上げてせめて車道方面から遠ざけてやろうかとも思ったのだが、そんなことをしたら1分もしないうちに頭が血だらけになってしまいそうだ。 十メートル以上も上の巣に自力で戻るのはちょっと不可能に見えるし、カラスは猫が子猫にするようにヒナをくわえあげることはできない様子だ。きっと夜になると徘徊するアライグマあたりに食べられてしまうのだろうな、と思うとこの子の行く末にかなりの不安を感じるのだが、この明るい子カラスの表情には、もしやなんとかするのではと思わせるものがある。 そもそも巣から落ちたのではなく、親の制止を振り切って自主巣立ちしたのかも知れない。だとしたら狭い巣での抑圧的な生活から解放されて芝の上で自由を謳歌しているに違いない。あの楽天さも納得できる。頑張れ子カラス!自由は大変だけれども、確かに楽しいぞ。とカラスを励ましていたのは強引な解釈だっただろうか。 |
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