水不足が心配された福岡も6月末から土砂降りの雨が降ることが多く、災害の心配や環境の問題を身近に感じる今日この頃です。さて第4回目は、佐賀県を中心に活動されている シグマテック(福崎自動化機械設計室)の福崎 稔浩さんに、ご登場頂きます。
福崎さんは、SOHO筑後川がコーディネートした久留米大学ベンチャー育成講座に参加して頂き、その後も定例会や交流会でお会いし、いろいろとご意見頂戴しております。福崎さんのお仕事は、私には馴染みのない分野で、とても興味深く感じておりましたので、ぜひお仕事の事、製造業(ものづくり)でのSOHOのあり方をお聞きできたらと思っております。
- 深川
- それでは、始めに福崎さんのお仕事の内容を簡単に説明して頂いて宜しいでしょうか?
- 福崎
- 仕事は一般消費者の方が相手ではなくBtoB(企業間の取り引き)ですから基本的には大手企業、開発ベンチャーを相手にする仕事です。独立して約10年なりました。これまでは、自動化・省力化機械の(CADを使っての)機械設計が仕事の大半でした。現在は技術コンサル、技術セミナーの講師もやっております。
自動化・省力化機械というのは、皆さん馴染みは少ないと思いますが、例えば、人がするには適さない仕事(重労働、危険、品質のばらつきが大きい、生産性が低い)がありますよね。
このような仕事は自動化・省力化させるために機械を作る必要があります。この機械の構想や設計を行うのが私の仕事です。その仕事のひとつに産業用ロボットの設計があります。
具体的には自動車部品の組立ライン内のロボット化、鉄道車両台車部のねじ締めや車軸の圧入を自動化・省力化する機械を設計製作するなどが仕事です(客先が求める仕様を満足させなければお金をいただけません)。
- 深川
- 福崎さんがSOHO形態でお仕事を始められたきっかけは何でしょう?
- 福崎
- 独立前(直近の1.5年)は会社員として経営コンサルタントの仕事をしていました。独立を真剣に考えたときはすでに40歳という年齢でしたのでコンサルタントの仕事を続けるかあるいはもう一度技術者としてやっていくかを決断しなければならないと考えました。
コンサルタント業は60歳を過ぎてもできますが、技術者としては「今を逃すともうできないなあ」と強く思い技術者の道を決断しました。
独立前から仕事(機械設計)の依頼はあったので独立時はこれまで実績のある機械設計業をすることにしました。機械設計業は法人でなくても取引してくれる会社が多かったのが大きいと思います。
- 深川
- 独立時に取引が継続できる設計業を選ばれたのですね。さて、福崎さんとお話しておりますとご家族の微笑ましいご様子をお聞きする事が多いのですが、ご家庭とのバランスやSOHO形態でお仕事を続けていくうえでの課題などありましたらお願い致します。
- 福崎
- SOHO形態での課題は...最近、お客様から、ものづくりまでを依頼されることが多くなりこの要請を無視できなくなったことです。
私は設計(構想、設計)のみを請負うのですが、製作・組立・据付等は私との信頼関係がある会社に業務委託することになります。アライアンス・コラボレーション形式で仕事を受託します。 ただし責任範囲・契約書作成などややこしい取決めが必要になります。
設計委託ではSOHO形態でも問題が生じなくても「ものづくりまで」となると法人でないと取引ができない会社が多いように感じています。
現在、自宅で仕事をしています。家庭では小さい子供(小学1年生女児)がいるので、仕事と家庭との両立が難しいと感じることがあります。
最近は、少し聞き分けができるようになったように(希望を含め)思いますが...。
- 深川
- なるほど。法人格を取らないと請け負えない仕事があり責任範囲・契約書作成などの取り決めが難しいという事ですね。同じ悩みをもたれる方も多いのかもしれませんね。それでは、この形態で仕事を続けていて良かったと思われる事は何かありますか?
- 福崎
- 私の場合、SOHO形態での良し悪しについてあまり考えたことはありませんでした(これまでSOHO形態でのデメリットを感じなかったのだと思います)。SOHO形態での良い点は、法人での約款のしばりがない(自由度が大きい)こともあるように思います。したがって、新しいビジネスモデルを考えながら走ることが割合しやすいのかな?と思います。
- 深川
- 最後になりましたが、製造業(ものづくり)でのSOHOを始めようとされている方、現在頑張っていらっしゃる方に何かありましたらお願い致します。
- 福崎
- 現在はサラリーマン受難の時代であると思います(大量のリストラ、給与所得控除の縮小)。今後こうした傾向が強まることがあっても緩和されるようには思えません。独立する、しないに関わらず今の実力で少なくとも5年や10年家族を養っていけるだけのキャリアはもっていないと生きてゆけない時代であると思います。
独立は誰でも簡単にできますが自分らしく生きるために自立・自営を続けることは決して容易ではないと思います。しかし雇用されない生き方をすることでプロとは何かを肌で感じることができ、雇用される立場の人には決してわからない世界が見えてきます。
- 深川
- 福崎さんの日々の仕事に対する自信とやりがいをお言葉の端々から感じます。産業ロボットの分野でもSOHOでも活躍の場があることが興味深く感じました。これからも活躍の場を広げていかれると思いますが、いろいろと教えて下さいね。今日はありがとうございました。